熊本大学大学院先端科学研究部基礎科学部門地球環境科学分野
担当 横瀬久芳(海洋火山学)
欧米では、海洋学を総合科学あるいは学際科学と位置付けています。
地球表層の約七割を占める海洋は,半世紀前には深くて暗い神秘の領域であった.近年長足の進歩を遂げた海洋学的研究手法は,地球環境の変動における人間活動の影響を明らかにし,地球環境における海洋の重要性が再認識されました。地球の危機的な環境破壊を一刻も早く改善しなければいけないと、一部の海洋学者は警鐘を鳴らしています.しかし、海洋にまつわる諸現象の解明には,各専門分野で独立に研究が進められていることが多く,全体像を掴みにくい難しい学問というイメージが一般人には付き纏っています.
本講義では,“海洋”という視点から,総合科学的に地球を理解する事を目的としています。みんなの理解が進めば、きっと健全な地球が保てると期待しています。「海の理解者」となって地球を救おう!
(2015年度受講生による、【海洋学イメージ】のビフォア―・アフターを読んで講義の内容を想像してみましょう♪)
関連情報
★2024年度のスケジュールに変更しました.
★教科書『これからの海洋学:水の惑星のリテラシー』が朝倉書店から9月8日に出版されました。.
★熊本日日新聞一筆にて毎週火曜日(2022年4月5日~6月28日)に連載
★肥後の温泉科学(熊本大学の教養教育 肥後熊本学ーWEB Pamphlet)
★#32 トンガ海底火山大噴火 海洋火山学者に聞く(読売新聞オンライン調研RADIO:ポッドキャスト:2022年1月28日)
★【動画と音声解説】トンガ海底火山 衛星が捉えた噴火の映像からわかること(読売オンライン・調査研究 取材:2022年1月28日公開)★トカラ列島近海群発地震 海底で何が起きているのか(読売オンライン・調査研究 取材)(2021年12月14日公開)
★熊本地震の発生メカニズムを徹底検証 内陸型地震の発生予測は論理的に可能(読売新聞調査研究に寄稿)(2021年4月14日)
★教科書【はじめて学ぶ海洋学】の正誤・改訂箇所の表をご確認下さい。(2020年12月14日)
★明石家さんまのホンマでっかTVに海洋学評論家として出演しちゃいました。(関連資料1、 関連資料2、関連資料3)(2020年8月30日)
★ NHK名作選 見逃しなつかし で『ジパングの海』のダイジェスト版(3分)が観れます。(2016年2月2日)
★ ”出前授業”をはじめました! 御希望の方はクリックで詳細情報を (2016年3月20日)。
テーマ1:ポイ捨てが引き起こす海洋汚染(マイクロプラスチック問題)
テーマ2:深海魚はどうしてあのような形になったのか?
青字の部分をクリックすると詳細やリンク先が見れます。
2024年度スケジュール(予告なしに変更となる事があります)
講義回数 | 日付 | タイトルをクリック:内容表示 | 備考 | ☆教科書対応ページ ★練習問題 |
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第1回 | 9月30日 | 水の惑星の環境(W1) 1. はじめに ”海洋学”は総合科学 2. 本講義の基本ルール 3. 代筆で出席点は取れません 4.レポートの十戒 |
a. ガイダンス b.講義のスケジュール c.単位の取得法 d.地球環境とレアアース仮説 |
☆i~ii ★exercise_s1 |
第2回 | 10月7日 | 水の惑星の環境(W2) 宇宙における地球 |
a. 水の惑星の生い立ち b.宇宙空間における地球の誕生 c.地球表層部の成り立ち d.大陸棚から深海平原までの地形変化 |
☆ p.1~9 ★exercise_s3 |
第3回 | 10月14日 | 水の惑星の環境(W3) 地球環境のエネルギー源 |
a. 太陽放射によって暖められる地球 b. 温室効果ガスと熱収支 c. 地球表層部のアルベド d. 地軸の傾きと地球の温まり方 e. 電磁波を熱エネルギーに変換する海水 | ☆p.9-19 ★exercise_s4 |
第4回 | 10月21日 | 水の惑星の環境(W4) 大気循環を左右する水蒸気 |
a. 乾燥大気と湿潤大気 b. 顕熱と潜熱 c. 水循環と淡水 d. 海に塩辛さは河川がもたらす e. 海水の化学組成比は世界中で同じ |
☆p.19-29 ★exercise_s5 |
第5回 | 10月28日 | 水の惑星の環境(W5) 大気循環とコリオリの効果 |
a. 地球に働くコリオリの効果 b. 上昇気流と下降気流で循環を作り出せ c. 海洋がもたらす地球規模の上昇気流 d. 大気循環で決まる海洋表層の塩分 |
☆p.30-39 ★exercise_s8 |
第6回 | 11月11日 |
水の惑星の環境(W6) 大気循環と海洋循環の関係 |
a. 風浪の成長過程 b. 波の速度と水深の関係 c. 海岸に打ち寄せる波の正体 d. 波の形と水深変化 e. 風向きと海流は一致しない f.海流を作り出すメカニズム g.海流と大気の循環で住みよい地球へ |
☆p.40-51 ★exercise_s6 |
第7回 | 11月18日 | 水の惑星の環境(W7) 大気組成と海洋生物 |
a. 生命の起源と海洋 b. 独立栄養生物と従属栄養生物 c. 生物生産の制限因子 d. バクテリアによって再利用される排泄物や死骸 e. 魚たちの生き残り戦略 |
☆p.56-66 ★exercise_s7 |
第8回 |
11月25日 |
水の惑星と人類(H7) 魚類の資源管理 |
a. 水産資源の枯渇問題 b. ウナギ資源の枯渇 c. 絶滅危惧種 d. 商業的悦滅 |
☆p.127-132 ★exercise_d2 |
第9回 | 12月2日 | 水の惑星と人類(H2) 深海環境とはどんなところか |
a. 深海と高圧環境 b. 海水は密度の異なる3層構造 c. 水温と塩分で海水を識別 d. 深層大循環 e. 深層水生産の場所が限定される理由 |
☆p.69-78 ★exercise_d3 |
第10回 | 12月9日 | 水の惑星と人類(H3) 深海魚の奇抜な形態の理由 |
a. 深海魚の生息環境による区分 b. 深海魚の英語名 c. 極限状態を生き抜く深海魚 d. 中性浮力の獲得 e. 生物発光の意味 f.深海魚は絶滅しやすい |
☆p.78-89 ★exercise_d4 |
第11回 | 12月16日 | 水の惑星と人類(H4) 気候変動と人類の拡散 |
a. 自然が創り出す気候変動 b. 世界に広がるホモ・サピエンス c. 九州人と黒潮の民 d. 縄文文化を襲う巨大噴火 e. 縄文人は海を渡ってアメリカ大陸に辿り着けたのか? |
☆p.90-97 ★exercise_d5 |
第12回 | 12月23日 | 水の惑星と人類(H5) 海洋は一続き |
a. 大海原で船の位置を決めるには b. コロンブスがカリブに渡った理由 c. 正確な時計が大航海時代を加速する d. 水深を調べる e. 排他的経済水域とは f.One Planet, One Ocean |
☆p.98-115 ★exercise_d6 |
第13回 | 2025年 1月20日 |
水の惑星と人類(H6) 海と自然災害 |
a. 台風・ハリケーン・サイクロン b. 高潮被害 c. 地震と津波災害 d. 山体崩壊と津波災害 e. 隕石衝突と津波災害 |
☆p.116-123 ★exercise_d7 |
第14回 | 2025年1月27日 |
水の惑星と人類(H7) 水の惑星を持続的に活用するには? |
a. ラパ・ヌイの悲劇に学ぶ b. 水の惑星という名の共有地 c. 海上に集積するプラスチックゴミ d. 現在も続く有害物質の生物濃縮 e. プラネタリーバウンダリーと人類の未来 |
☆p.132-146 ★exercise_d8 |
第15回 |
2024年 2月3日 |
詳細は後日連絡 | 2016年度後期試験情報を更新しました。2017年1月11日 | |
第x回 | まとめ(1時間) 試験情報: 平成25年度は、理学部関連の受講生と開放科目の受講者が混在しています。試験は、別々の部屋で、問題も異なりますから注意してください。特に、開放科目で受講している生徒は通常の部屋と異なりますので気を付けてください。 2月3日 教養教育棟C301(”開放科目”の受講者12*82 2月10日 理学部D201(”海洋の科学”および”海洋地学”の受講者) |
・第一問 論述(400字以上) ・第二問 三択問題(50問) ・第三問 論述(200字以上) (採点基準) 通常のノートのみが持ち込み可。 ルーズリーフ、クリアファイルの持ち込みは認めない。他人のノートや資料をコピーしたコピー紙の持ち込みも認めない。バラバラの返却済み小テストも試験中参照できない。そのほか、 |
過去問題 ・平成26年F3限 ・平成26年F4限 ・平成26年F5限 ・平成26年S3限 ・平成26年K3限 ・平成25年F3限 ・平成25年F4限 ・平成25年S3限 ・平成25年K3限 ・平成24年F3限 ・平成24年S3限 ・平成24年K3限 ・平成23年F4限 ・平成23年S3限 ・平成23年K3限 ・平成23年S6限 ・平成22年AS3限 |
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成績発表 | 2012年度 成績 | 海洋の科学 & 海洋地学 平均 82.1 最高100.6点 出席点 94.5(補正前 最高点) テスト 148.5(補正前 最高点) 結果のヒストグラム 開放科目12 & 82 平均 79.6 最高103.7点 出席点 91.6(補正前 最高点) テスト 150.5(補正前 最高点) 結果のヒストグラム |
<教科書>
★横瀬久芳 著 【これからの海洋学:水の惑星のリテラシー】 朝倉書店,A5/160ページ ISBN9784254160819
全国大学関連図書館蔵書状況に関する情報:86館(2024.4.1.)
<参考文献>
★横瀬久芳 著 【はじめて学ぶ海洋学】朝倉書店 8刷 A5/151ページ ISBN978-4-254-16070-3
全国大学関連図書館蔵書状況に関する情報:156館(2024.4.1.)
正誤表・改訂部分に関する情報を提供(2020.12.14)
★ 横瀬久芳 著『ジパングの海 資源大国ニッポンへの道』講談社+α新書 新書 224ページ ISBN:978-4-06-272848-5、 全国大学関連図書館蔵書状況に関する情報:50館(2016.6.2.)
★ 横瀬久芳 著 『面積あたりGDP世界1位のニッポン 地震と火山が作る日本列島の実力』 講談社+α新書 新書 240ページ ISBN:978-4-06-272969-7
1.The ocean basins: Their structure and evolution, 2nd edition. The Open
University, Butterworth-Heinemann, 192p, 1998.ISBN-10: 0750639830 ISBN-13: 9780750639835
2.Wave, tides and shallow-water processes, 2nd edition. The Open University,
Butterworth-Heinemann, 228p, 2000.ISBN-13: 978-0750642811 ISBN-10: 0750642815
3.Marine biogeochemical cycles, 2nd edition. The Open University, Butterworth-Heinemann,
130p, 2005.
Ocean circulation, 2nd edition. The Open University, Butterworth-Heinemann, 286p, 2001.ISBN-13: 978-0750667937 ISBN-10: 0750667931
4.Seawater: Its composition, properties and behavior. The Open University,
Butterworth-Heinemann, 166p, 1995.ISBN: 978-0-08-042518-4
5.Oceanography: An invitation to marine science, 8th edition. International
edition. Tom Garrison, Cengage Learning, 640p, 2013.ISBN-10: 1111990840 | ISBN-13: 9781111990848
6.Essential of oceanography, 9th ed. A. Trujillo & H. Thurman, Prentice
Hall, 576p, 2007.
An introduction to the world’s oceans, 9th ed. K. Sverdrup & E. Armbrust,
McHill Science Engineering, 521p, 2008., ISBN-10: 0321814053 • ISBN-13: 9780321814050
7.The endless voyage: introduction to oceanography. J. Stock et al., INTELECOM
Intelligent Telecommunications, DVD, 2003.
8.NHKスペシャル 海 知られざる世界DVD BOX,NHK「海」プロジェクト,NHKエンタープライズ,DVD8枚組み,2008.
9. 大陸と海洋の起源 アルフレッド・ウエゲナー(著) 竹内均(訳)、講談社学術文庫、1990、ISBN4-096-158908-3
<その他の参考文献>....................別紙参照
<学習基本図書>
1. 知性を磨く-「スーパージェネラリスト」の時代.田坂広志,光文社、229p.2014.
2.. 自助論 サミュエルスマイルズ(著)竹内均(訳)、三笠書房、2002. ISBN-10: 483797239X ISBN-13: 978-4837972396
3. 学問のすすめ 福沢諭吉(著) 檜谷 昭彦(現代訳)、三笠書房、2010、ISBN-13: 978-4837979029
4. 頭がよくなる本 竹内均(著)、三笠書房、1994、ISBN4-8379-1538-8
5. 論理的に各方法 小野田博一(著)、日本実業出版、1997、ISBN4-534-02643-9
6. 理科系の作文技術 木下是雄(著)、中公新書、1981、ISBN4-12-100624-0
7. レポートの組み立て方 木下是雄(著)、ちくま学芸文庫、1994、ISBN4-480-08121-6
問い合わせや御意見は担当教員へ
〒860-8555
熊本市黒髪2-39-1
熊本大学理学部地球環境科学講座C416
yokose@kumamoto-u.ac.jp